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子を抱いたシリア難民の夫婦 セルビアとマケドニア国境の難民キャンプで 子を抱いたシリア難民の夫婦 セルビアとマケドニア国境の難民キャンプで 

教皇インタビュー「聖ヨセフとパンデミックを生きる親たち」

教皇フランシスコは、バチカンのメディアのインタビューに答え、ご自身が親愛を寄せる聖ヨセフについて語ると共に、パンデミックという困難な時代を生きる親たちに思いを寄せられた。

教皇フランシスコは、一昨年、聖ヨセフが「カトリック教会の保護者」として宣言されてから150年を迎えたことを記念し、2020年12月8日から2021年同日まで「聖ヨセフの特別年」を開催。2021年11月17日からは、一般謁見のカテケーシスで「聖ヨセフ」をテーマに考察を行われている。

 このたび、バチカンの「オッセルバトーレ・ロマーノ紙」のインタビューに答えた教皇は、聖ヨセフへの親愛を語ると共に、今日、特にパンデミックの影響下にある世界で、家庭と子どもたちのために心を配る親たちに寄り添いを表された。

 聖ヨセフをテーマにした使徒的書簡「パトリス・コルデ」の発表、「聖ヨセフ年」の開催、そして一般謁見での聖ヨセフをめぐる一連の考察と、教皇の聖ヨセフに対する愛はどこから来るのだろうか。教皇にとって聖ヨセフはどのような存在なのだろうか。

 これに対して教皇は、ご自身が常に示してきた聖ヨセフへの共感は、幼少期や成長過程から育まれたもので、聖ヨセフの素晴らしく稀に見る生き方に、キリスト者一人ひとりにとっての信仰の模範を感じ、特別な崇敬の念を抱いてきた、と話した。

 教皇は、ヨセフの聖性は、普通の人として、人生で直面した喜びや悲しみや様々な状況を通して聖人となったことにある、と述べる一方で、福音書に記される、救いの歴史の一人の主役としての聖ヨセフの役割をも忘れてはならない、と強調。人となられたみことばをこの世に産んだマリアに対し、ヨセフは御子を守り、養い、育む役割を負ったことを思い起こされた。

 教皇は、聖ヨセフを「困難の時代の人」、試練の中で具体的に行動し、責任をとることを知る人、とも定義した。

 聖ヨセフの中には二つの性質が一致している、と述べた教皇は、ヨセフの神の声に耳を傾ける力、祈りに育まれた深い霊的態度を指摘すると同時に、困難、障害に対し、決して被害者意識を持つことなく、神に信頼し、極めて実践的な態度で問題に対応していく姿を示された。

 教皇は、わたしたちの人生において自分を育ててくれた人たちとの関係は非常に重要である、と述べつつ、ヨセフの父性はイエスに深く影響し、その後のイエスの説教に反映されていると確信する、と語られた。

 たとえば、イエスが神とは父であると言う時、この表現にイエスが自分の人生体験を通して知った父性が反映されていることを無視できない、と教皇は述べ、それはすなわち、イエスが神を形容するための最も美しい要素をヨセフの愛と父性の中に見出すほどに、ヨセフは父としての役割を素晴らしく果たしたということを意味する、と話された。

 教皇は、子どもたちはやがて親になる時、自分がどういう親に育てられたか、自分はどのような親になりたいのかを問うことになるが、親という役割を偶然得たものであるかのように捉えず、子に対し、どのように愛するか、どのように責任を取るかということを意識的に選び取っていく必要がある、と説かれた。

 パンデミックの困難な時代にあって、この闇にどう対応するかを知るために、わたしたちは勇気づけ、支えてくれる誰かを必要としている、と述べた教皇は、暗い時代の輝ける証人として、聖ヨセフを取り上げたく思った、と語った。

 特にこうした時代の中、試練に置かれた家庭や、子どもたちにパンをもたらすために労苦する父親や母親たちに、教皇は精神的な寄り添いと祈りを表明された。

 同時に、戦争から逃げ、苦しみや不正義を体験し、人々の無関心の中で生きる多くの家族に連帯を示された教皇は、自分の子どもや家族のために命がけの勇気を持つこれらの父親、母親たちは、ご自分にとって英雄である、と強調された。

 マリアとヨセフも、ヘロデの暴力と権力から逃れ、同じように難民としての試練を体験したことを指摘しつつ、教皇はこれらの家族たちを心に留め、彼らの声をできるかぎり伝え続けたい、と話された。

 

13 1月 2022, 17:09