教皇「復活された主の光を広げ、希望の構築者となろう」

バチカンで、2025年度の「復活の聖なる徹夜祭」が祝われた。

 聖土曜日、4月19日夜、主イエス・キリストの復活を待ちながら祈り、その過ぎ越しを祝う復活の聖なる徹夜祭が、バチカンの聖ペトロ大聖堂でとり行われた。 

 「すべての聖なる徹夜祭の母」とも呼ばれるこの典礼は、教会暦の一年の中で、最も豊かな内容を持ち、光、水、油等、多くのキリスト教シンボルにあふれた荘厳なものである。 

 「聖年」を背景とする今年の復活徹夜祭は、教皇フランシスコより代理として委託を受けた、枢機卿会主席、ジョヴァンニ・バッティスタ・レ枢機卿によって司式された。

 このミサには、聖堂内と広場を合わせておよそ5千人が参加した。

 教皇フランシスコは、ミサが始まる少し前、聖ペトロ大聖堂で祈りの時を持たれ、ご自身もこの聖土曜日の儀式に精神的に参加していることを示された。

 復活徹夜祭は「光の祭儀」で幕を開け、聖ペトロ大聖堂のアトリウムで、火の祝別と、復活の大ろうそくの準備が厳かに行われた。

 やがて、明かりを落とした聖堂内に復活の大ろうそくを掲げた助祭が入場し、「キリストの光」と三度唱える間に、その火は人々が手にするろうそくに次々と灯され、聖堂内は無数の小さな光で浮かび上がった。聖堂内に明かりがつけられた後、助祭により復活の賛歌が朗唱された。

 復活徹夜祭の「ことばの典礼」では、多くの聖書朗読が行われる。この夜、旧約聖書から「創世記」「出エジプト記」「イザヤ書」の各1箇所、聖パウロの書簡から「ローマの信徒への手紙」の1箇所、福音朗読では「ルカによる福音」より、イエスの墓へ向かった婦人たちが天使からイエスの復活を告げられる場面が、それぞれ朗読された。

 続いて、ミサの司式者、レ枢機卿は、教皇フランシスコとの精神的一致のうちに、教皇が準備した説教を代読した。

 その説教で教皇は、「復活の光は道の一歩一歩を照らし、音もなく歴史の闇の中に広がり、わたしたちの心に静かに輝く」、「主の復活は、神がご自身を華々しく示され、人々に信じることを強要するための見せ物でも、イエスがカルワリオを迂回し、簡単な方法で到達する最終地でも、わたしたちが内省なしに気軽に体験できる出来事でもない。その反対に、復活は小さな光の芽のように、時には闇と不信仰に脅かされながらも、音を立てずに、少しずつ歩みを進めていくものである」と述べている。

 「キリストは罪に打ち勝ち、死を滅ぼした。しかし、わたしたちの地上の歴史において、キリストの復活の力は、まだ成就の途中にある。そして、この成就は小さな光の芽のように、それを守り成長させるよう、わたしたちに託された」と教皇は強調。

 そして、「『復活の希望を、わたしたちの生活と世界に芽吹かせよう』この呼びかけを、特に聖年にある今、わたしたちは心に強く感じなければならない」とアピールされた。

 「復活節は、希望の季節である。復活された主の光を広げよう。そして、世界のために希望の構築者となろう」と、教皇は説教を通し信者らを励まされた。

 復活徹夜祭のもう一つの特徴である「洗礼の儀」では、イタリア出身の男性2名と、アルバニア出身の女性1名が受洗した。

 「感謝の祭儀」の後、復活節の聖母賛歌「レジナ・チェリ」に皆が声を合わせ、こうして復活の聖なる徹夜祭が終了した。

19 4月 2025, 23:43