広島・原爆ドーム 広島・原爆ドーム  (AFP or licensors)

広島・長崎被爆80年:教皇「核兵器は人間性を傷つける」

教皇レオ14世は、広島と長崎への原爆投下から80年を前に、広島で開催された平和集会にメッセージを寄せられた。

 教皇レオ14世は、広島と長崎への原爆投下から80年を前に、8月5日、広島で開かれた平和集会にメッセージを寄せられた。

 この集会は、「被爆80年 核廃絶のための協働をめざして」をテーマに、エリザベト音楽大学セシリアホールで、被爆者団体と日米韓の有志枢機卿・司教によって行われた。 

 続いて、世界平和記念聖堂で、平和を祈願するミサが捧げられ、この中で教皇レオ14世のメッセージが、駐日教皇大使フランシスコ・エスカランテ・モリーナ大司教によって紹介された。

 レオ14世は、広島教区の白浜満司教に宛てたメッセージで、被爆者の方々への敬意と親愛の念を表され、「その喪失と苦しみの体験は、より安全な世界の構築と、平和な環境の醸成のために、わたしたち皆に緊急に呼びかけるもの」と述べられた。

 長い年月の経過にも関わらず、広島と長崎の二都市は、核兵器がもたらした底知れない恐怖を今なお生き続け、その街や、学校、家々は、あの運命的な1945年8月の、目に見える傷跡と精神的傷跡の双方をいまだに残している、と教皇は記された。

 こうした現実を前に、レオ14世は、前任の教皇フランシスコがよく使っておられた「戦争は常に人類にとっての敗北である」という言葉を繰り返された。

 教皇は、長崎への原爆で被爆した永井隆博士の、愛の人とは、武器を持たない「勇気」の人、という言葉を胸に留めつつ、「真の平和には、勇気をもって武器を、特に言語に絶する大惨事を引き起こす力を持つ武器を捨てることが必要」と強調。

 「核兵器は、わたしたちが共通に持つ人間性を傷つけ、その調和を守る使命を託された、被造物の尊厳を裏切るもの」と表明された。

 世界的な緊張と敵対が高まる今日、広島と長崎は 「記憶の象徴」として、相互確証破壊に基づく安全保障の幻想を拒否するよう促している、と述べた教皇は、これに代わるものとして、わたしたちは、正義、兄弟愛、共通善に根ざしたグローバルな倫理を築き上げなければならない、と指摘。

 この厳粛な記念日が、人類という家族全体のための恒久平和、「武装しない、武装を解かせる平和」を追求する決意を新たにするよう、国際社会に訴えるものとなることを祈られた。

 そして、教皇は、この日を記憶に留めるすべての人々に、神の豊かな祝福を祈り求められた。

 

05 8月 2025, 17:29