法曹界の聖年:教皇「福音的な正義は、人間の正義を前進させる」

バチカンで法曹界を対象とした聖年の行事が行われた。

 バチカンで法曹界を対象とした聖年の行事が、9月20日、バチカンで行われた。

 この記念行事には、教会法・世俗法の分野で働く裁判官、検察官、司法官、弁護士、法律関係者等とその家族が参加。朝から聖ペトロ広場に集い、ゆるしの秘跡に与り、教皇庁法制省次官フアン・イグナシオ・アリエタ司教による黙想に耳を傾けた。

 そして、正午、同じく広場で、教皇レオ14世と法曹界の巡礼者たちとの出会いが行われた。

 教皇は参加者への言葉で、「欺かない希望」をテーマとするこの聖年は、すべての人間の尊厳の促進と被造物の尊重において、必要な信頼を取り戻すことを目標の一つとしていると紹介。

 この聖年を、社会の秩序ある発展に不可欠であり、あらゆる人の良心を導く枢要徳、「正義」について考えるまたとない機会として示された。

 正義とは、伝統に従えば、理性と信仰に基づいてわたしたちの行いを秩序づける、揺るぎない安定した態度であり、正義の徳は、特に「神と隣人にふさわしいものを与えようとする、絶え間ない確固たる意志」にあり、「各人の権利を尊重し、人間関係において、個人と公共の利益に対する公平を促進するための、調和の確立」を命じるもの、と教皇は話された。

 教皇は、福音書中の正義をめぐるエピソードとして、やもめの粘り強い訴えが、裁判官に正義の感覚を取り戻させたたとえ(参照 ルカ18,1-8)や、仕事の終了間際に雇われた労働者にも、一日中働いた労働者と同じ賃金を支払うという、より高度な正義を説くたとえ(参照 マタイ20,1-16)などを挙げられた。

 福音的な正義は、人間的な正義から目を外らすのではなく、それを問いただし、新たな意味を与えるものであり、人間の正義を常に前進させ、和解の追求を促すもの、と教皇は話された。

 聖年は、不公平で非人道的な生活条件のために「正義への飢えと渇き」を抱える多くの国々や人民の現実についても考えるよう招いている、と教皇は指摘。

 「正義なくして、国家は統治できない。真の正義のない国家に、法は存在することができない」という聖アウグスティヌスの言葉が、神を見上げつつ、国民に奉仕するための司法を常に最善の形で行使し、人々の正義、権利、尊厳を完全に尊重することを促すようにと祈られた。

22 9月 2025, 12:55