スピーチを行う教皇レオ14世  10月16日 ローマ・国連食糧農業機関本部 スピーチを行う教皇レオ14世  10月16日 ローマ・国連食糧農業機関本部  (ANSA)

「飢餓を許すことは、共同的挫折」レオ14世、食糧農業機関で

教皇レオ14世は、「世界食糧デー」に、ローマ市内の国連食糧農業機関本部を訪問された。

 教皇レオ14世は、10月16日、ローマ市内の国連食糧農業機関 (FAO)本部を訪問された。

 この訪問は、同日記念された「世界食糧デー」と、FAOの設立(1945年10月16日)から80年を機会に行われた。

 教皇が訪問したこの日、FAOでは、2025年度の「ワールド・フード・フォーラム」(10月10日―17日)が開催されていた。

 FAO本部で屈冬玉事務局長に迎えられたレオ14世は、会議場でフォーラム参加者らを前にスピーチを行われた。

 その冒頭で、教皇は「福音に仕える者」として、地球上のすべての人々に、あらゆる場所への平和の訪れを心から祈願された。

 「教皇の心は、自分自身に属せず、教会、そしてある意味、全人類のもの」と述べたレオ14世は、飢餓を克服するならば、平和がすべての国に訪れ、それが共通善を生む肥沃な土壌となる、というご自身の確信を表わされた。

 「FAO設立から80年、わたしたちの良心は、飢餓と栄養失調という、今なお続く悲劇に対し、再び問いかけなくてはならない」と教皇は述べ、「この問題の解決には、起業家や政治家だけでなく、皆の貢献が必要」と話された。

 「飢えに苦しむ人は、見知らぬ人ではない。自分の兄弟として、すぐに助けなければならない」とレオ14世は強調。

 技術や科学、生産性の進歩にもかかわらず、世界中で6億7300万人が食事なしで眠りにつき、23億人が栄養的に適切な食事を摂取できないという現実を思い起こすよう招きながら、これらの数字は単なる統計ではなく、その背後にある、壊された生活、脆弱な社会、子どもに食べ物を与えることのできない母親や、健康な成長を妨げられた子どもたちの存在を示された。

 教皇は、これらは偶然ではなく、「広がる無感覚、魂のない経済、議論の余地ある開発モデル、そして不公正で持続不可能な資源の分配システムの明らかな兆候」であると述べ、科学が期待すべき寿命を延ばし、技術が大陸同士を近づけ、知識がかつては想像もできなかった展望を見せる今日、無数の人々が飢餓のために苦しみ、死ぬのを許すことは、「共同的挫折、倫理的な逸脱、歴史的な罪」であると訴えられた。

 現在の諸紛争が食糧を戦争の武器として用いるかつての方法を再び浮かび上がらせる中、意図的な飢餓をもたらしたり、共同体や国民全体に対し食糧へのアクセスを意図的に妨げる行為を戦争犯罪とみなすという各国の合意はますます遠のいたかに見える、と述べた教皇は、国際人道法は、民間人に対する攻撃や、人々の生存に不可欠な財産への攻撃を例外なく禁止している、と指摘。

 「飢えで亡くなる人々の沈黙は、無視や黙殺や歪曲にあっても、すべての人の良心の中で叫び続ける。このままではいけない。飢えは人類の運命どころか、その破滅である。それゆえに、このスキャンダルを正すための熱意を高めよう」と招かれた。

 同時に教皇は、「飢餓には多くの種類があり、人は人間として成熟・成長し、幸福に至るために、パンだけではない、必要なあらゆるものを渇望している」と述べ、特に人々が抱く信仰と希望と愛への渇望に目を向けられた。

 空腹を抱える群衆を前に、イエスが弟子たちに向けた、「あなたがたが彼らに食べ物を与えなさい」(マルコ6,37)という言葉は、国際社会にとって今なお本質的かつ急務の課題である、と教皇は話しながら、弟子たちのささやかな貢献を通して、イエスが大きな奇跡を行われたことを思い起こされた。

 教皇は、これらの問題に対する教皇庁とカトリック教会の連帯と奉仕を約束すると共に、持続的で有益な結果をもたらす正義のために働き続ける勇気と力を神に願うよう励まされた。

17 10月 2025, 13:58