ニケア公会議1700周年:イズニクでエキュメニカルな祈りの集い

教皇レオ14世は、トルコ西北イズニクで、ニケア公会議1700周年を記念する、エキュメニカルな祈りの集いを行われた。

 トルコを訪れている教皇レオ14世は、訪問2日目、11月28日、同国西北イズニクに赴かれた。

 レオ14世は、かつてはニカイアと呼ばれたこの地で、ニケア(ニカイア)公会議から1700年を記念する、エキュメニカルな祈りの集いを、正教会のコンスタンティノープル総主教バルトロメオス1世はじめ、諸キリスト教教会の代表らと共に行われた。

 教皇は、同日午後、イスタンブールから130kmの町、イズニクにヘリコプターで到着された。

 イズニクの前身であるニカイアは、アスカリオン湖(現在のイズニク湖)に面して紀元前310年頃に建設された都市で、交通の要所として交易で栄えた。この地で、325年にローマ皇帝コンスタンティヌス1世によって、また787年に、東ローマ帝国のエイレーネ“アテナイア”によって、2つの公会議が開催された。

 また、この地は古くから「イズニク陶器」と呼ばれる陶器の生産でも知られてきた。

 エキュメニカルな祈りの集いは、イズニク郊外の聖ネオフィトス大聖堂の遺跡のそばで行われた。ニカイアの聖ネオフィトスは、303年に殉教した若きキリスト教徒。同聖人に捧げて建立され、740年の地震で崩壊した大聖堂の遺跡が、2014年、イズニク湖の浅瀬に発見された。

 祈りの集いは、簡素であると同時に厳かな雰囲気に満ちたものとなった。

 集いに参加したキリスト教諸教会の指導者・代表者らは、湖のほとりに向かって宗教行列を行った。キリストのイコンと、公会議を描いたイコンを掲げた、湖と遺跡を見渡す舞台の上で、参加者らは、福音朗読や聖歌、バルトロメオス総主教と教皇レオ14世の挨拶に耳を傾けた後、ニケア・コンスタンチノープル信条を共に宣言した。

 ニケア・コンスタンチノープル信条は、第一ニケア公会議で生まれたニケア信条を、第一コンスタンチノープル(コンスタンティノポリス)公会議において改訂したもので、今日も東西の教会で広く用いられる、キリスト者の共通の遺産と言えるものである。

 教皇レオ14世は、この集いの挨拶で、「多くの点で劇的な様相の中で、人々が自らの尊厳に対する無数の脅威にさらされるこの時代、第一ニカイア公会議1700周年は、今日の人々の生活において、またわたしたち一人ひとりにとって、イエス・キリストとは誰なのかを問う貴重な機会である」と述べられた。

 教皇は、様々な理由からニケア・コンスタンチノープル信条を典礼の中で使用していない教会・共同体も含めて、世界中のすべてのキリスト教教会と共同体によって分かち合われているこの信条は、キリスト者たちが完全な交わりに向けて歩む道において極めて重要な意味を持っている、と強調。

 「すでにこの信条によって深い絆で結ばれているという認識から出発し、イエス・キリストによって啓示された神の御言葉へのますます完全な従順の道を歩み、聖霊の導きのもと、相互の愛と対話の中で、残念なことに今も存在する分裂というスキャンダルを乗り越え、主イエスが祈り、その命を捧げた一致への願いを育むようにと皆が召されている」と話された。

 「わたしたちキリスト者が和解すればするほど、すべての人への希望の告知、共同体や国家の境界を越えた平和と普遍的兄弟愛のメッセージであるイエス・キリストの福音について、より信頼しうる証しを行うことができる」、と教皇は述べた。

 また、教皇は、「和解は、今日、紛争と暴力に苦しむ全人類全体からの訴えである。イエス・キリストを信じるすべての者たちの完全な一致への願いは、常にすべての人の間の兄弟愛の追求を伴うもの」と語られた。

 民族、国籍、宗教、主義主張に関係なく、普遍的な兄弟愛が存在する、と述べた教皇は、宗教はその性質上、この真理の担い手として、人、集団、民族がそれを認識、実践するよう励まさなければならないと、話された。

 戦争や暴力を正当化するための宗教の利用は、あらゆる形の原理主義やファナティズムと同様、断固として退けられるべきであり、これに対して、兄弟愛に基づく出会い・対話・協力の道を進むべきものとしてレオ14世は示された。

 そして、教皇は、全能なるいつくしみ深き父なる神が、今日皆が捧げる熱心な祈りを聞き届けられ、この重要な記念日を通し和解と一致と平和の実を豊かにもたらしてくださることを祈られた。

教皇はこの集いの後、トルコ訪問後半の公式行事の拠点となるイスタンブールへと戻られた。

28 11月 2025, 19:52