レオ14世:貧しい人々の叫びに耳を傾けよ「正義なくして平和はない」
11月14日から16日まで、バチカンで「貧しい人々の聖年」の行事が行われた。
第9回「貧しい人のための世界祈願日」が記念された最終日16日(日)、教皇レオ14世は貧しい人たちと共に、バチカンでミサを捧げられた。
聖ペトロ大聖堂でとり行われたこのミサには約6千人が参列、また聖ペトロ広場ではおよそ2万人が大型スクリーンを通してミサの進行を見守った。
教皇はミサの説教で、「貧しい人のための世界祈願日」と共に「貧しい人々の聖年」を祝った今日、全教会が喜びにあふれる中で、特に愛する貧しい人々に、主イエスの「わたしはあなたを愛した」(参照 黙示録3,9)という言葉を力強く伝えたい、と話された。
わたしたちの小ささと貧しさにも関わらず、神は他の誰よりもわたしたちを見つめられ、永遠の愛をもって愛される、と述べた教皇は、古くからの貧困と新たな貧困に苦しむこの時代、教会が「貧しい人々の母、受容と正義の場」(使徒的勧告『ディレクシー・テ』39)となることを望まれた。
教皇は、世界を押しつぶす貧困の形がいかにたくさんあるか、と述べつつ、物質的な貧困はもとより、特に若者に多く見られる道徳的・精神的な貧困を挙げ、これらすべてに共通して横たわる「孤独」という悲劇を指摘。
孤独の壁を打ち破るために、「関心」の文化を育む必要を説きながら、自分がいる場所、暮らす場所で他者に関心を持ち、その姿勢を家庭、職場、学校、コミュニティ、デジタルの世界など、あらゆる場所で実践し、それを社会の片隅までもたらすことで、神の優しさを証しするよう励まされた。
今日、世界の様々な地域で見られる戦争は、わたしたちの無力さを思い知らせるかのようであるが、この無力感のグローバル化は、偽りから、すなわち、歴史は常にこうであったし、変えることはできない、と信じることから生まれている、と教皇は語られた。
これに対して、福音は、まさに歴史の激動の中にこそ、主はわたしたちを救いに来られると教えている、と教皇は強調。キリスト教共同体は、今日貧しい人々の間にあって、神の救いの生きたしるしとならねばならない、と呼びかけられた。
教皇は、国家の元首や指導者らに、「繁栄と発展という神話によって時に押し殺されてきた」最も貧しい人々の叫びに耳を傾けるように願われ、「正義なくして平和はない」とアピールされた。
