復活徹夜祭:教皇「世界に調和と平和を育て花開かせよう」
教皇レオ14世は、4月4日(土)夜、バチカンの聖ペトロ大聖堂で、2026年度の復活の聖なる徹夜祭をとり行われた。
これは、レオ14世が、教皇としてとり行う初めての復活徹夜祭となった。
復活祭前日の「聖土曜日」から、復活の主日の夜明けまでの間に、主キリストの復活を待ちながら祈り、その過ぎ越しを祝う荘厳な儀式が行なわれる。
この「復活徹夜祭」は、一年間の典礼の頂点である「過ぎ越しの聖なる三日間」のさらに中心をなすものであり、「すべての聖なる徹夜祭の母」といわれる。
光や水など、キリスト教的シンボル豊かなこの儀式は、火と復活の大ろうそくの祝別、光の行列、復活賛歌の朗唱によって始まり、ことばの典礼、成人の洗礼式、感謝の典礼へと続いていく。
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復活徹夜祭の幕開けとなる「光の祭儀」で、レオ14世は、大聖堂の扉の外で、新しい火と、復活の大ろうそくを祝別された。
火を灯した復活の大ろうそくを掲げる助祭を先頭に、明りが落とされた大聖堂の中に、教皇をはじめ、聖職者、修道者、信徒らの代表が入場し、行列した。
「キリストの光」と最初に歌われる中、大ろうそくから、教皇の持つろうそくにまず火が灯された。
再び「キリストの光」との朗唱に次ぎ、教皇のろうそくから、行列者のろうそくへ、そして、行列者から他の信者たちのろうそくへと火が灯され、光の行列が歩む中央通路から、次第に聖堂の左右に無数の小さな光が広がっていった。
やがて3度目の「キリストの光」が歌われると、照明が聖堂全体を明るく照らした。
続いて、「エクスルテット」(復活賛歌)が助祭によって朗唱され、復活の主の世の闇に対する輝ける勝利の知らせが告げられた。人々は皆ろうそくの光を手にしながら、それに聞き入った。
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復活徹夜祭の「ことばの祭儀」は、特別豊かに聖書朗読が行われる。この夜、旧約聖書から7箇所、使徒聖パウロの「ローマの信徒への手紙」から1箇所が、また福音朗読では「マタイによる福音」の一節(28,1-10)が朗読された。
教皇は説教の冒頭で、「この夜の聖なる神秘は、憎しみを払い、権力者の頑なさを和らげ、調和と平和をもたらす」という「復活賛歌」の一節を提示。
キリスト教の伝統の中で最も古く、「すべての聖なる徹夜祭の母」と呼ばれる、この光に満ちた徹夜祭で、わたしたちは、いのちの主の死と冥界に対する勝利の記念を追体験している、と話された。
教皇は、わたしたちのために「多くの痛みを負い」(イザヤ書53,3)、「軽蔑され、人々に見捨てられ」(同)、拷問され、十字架につけられた神の受難の神秘を思いながら、「これ以上の愛が、これ以上のまったき寛大さがあるだろうか。復活された方は、天地の創造主である。歴史の黎明期に無からわたしたちにいのちを与えてくださったように、十字架上で、その無限の愛を示すために、わたしたちにご自身のいのちを差し出された」と述べられた。
また、「救いの歴史のあらゆる場面において、人を分裂させ、いのちを奪う罪の冷酷さに対し、一致させ、いのちを再び与える愛の力をもって、神がいかに応えてくださるかをわたしたちは見てきた」と語られた。
教皇は、ミサ中朗読されたマタイ福音書の一節を観想。
復活の朝、悲しみと恐れを乗り越え、婦人たちはイエスの墓に行こうとした。彼女たちは、墓は封印され、入り口には大きな石が置かれ、兵士たちが警備していると予想していた。しかし、マグダラのマリアともう一人のマリアは、勇気をもって墓へ行き、信仰と愛によって、キリストの復活を最初に目撃した者となった、と教皇は述べた。
その時に起きた地震と、わきに転がした石の上に座る天使の中に、婦人たちは神の愛の力を見た。それは、いかなる悪の力よりも強く、「憎しみを払い」、「権力者の頑なさを和らげる」力であった、と教皇は強調。
「人は体を殺すことはできるが、愛の神のいのちは永遠であり、死を超越し、いかなる墓もそれを閉じ込めることはできない」と話された。
教皇は、兄弟たちに知らせるために走った婦人たちのように、わたしたちも今夜この大聖堂を出て、イエスが復活したという良い知らせを、また、イエスの力によってイエスと共に復活したわたしたちも、平和と一致の新たな世界にいのちを与えられると、伝えに行こう、と招かれた。
この時代にも、開けられるべき墓は多いが、それらを閉じている石は重く、動かせないように見える。それらの石は、不信、恐れ、利己心、恨みなど、人の心を苦しめるものもあれば、戦争、不正、民族や国家間の孤立など、わたしたちの間の絆を断ち切るものもある、と教皇は指摘。
しかし、何世紀にもわたり、神の助けのもと、大変な苦労と時にはいのちの犠牲さえ払いながらも、これらの石を転がしてきた多くの人々の存在を教皇は思い起こされた。
そして、「世界のいたる場所に、いつでも復活の賜物である調和と平和を育て、花開かせることができるよう、これらの人々に倣い、わたしたちもその努力を引き受けよう」と皆に呼びかけられた。
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この後、復活徹夜祭の伝統である成人の洗礼式がとり行われた。
教皇はこの中で、ローマ教区からの5名のほか、英国とポルトガルから各2名、韓国から1名の、計10名の成人に洗礼を授けられた。
キリスト教の様々な象徴が込められた復活徹夜祭は、「感謝の祭儀」をもって終了した。
一同は、最後に、天の元后マリアと共にキリストの復活を喜ぶ祈り、「レジナ・チェリ」(アレルヤの祈り)を歌った。
