教皇「他者の尊厳を取り戻させる思いやりと共感」
教皇レオ14世は、5月11日、教皇庁諸宗教対話省とヨルダンの王立諸宗教研究所の対話ミーティングの参加者らとお会いになった。
ヨルダンの王立諸宗教研究所は、1994年、アンマンに、エル・ハッサン・ビン・タラール王子の後援のもとに設立された。
第8回目となる今回の対話のテーマは「現代における人間の思いやりと共感」。
レオ14世はこのテーマに触れながら、関係者らに挨拶をおくられた。
キリスト教とイスラム教の伝統において、人間的な思いやりや共感は、何か特別なものや選択上のものではなく、むしろ、神の優しさをわたしたちの日常生活に反映させるようにとの神の呼びかけである、と教皇は話された。
かつて、教皇レオ13世が回勅『レールム・ノヴァルム』の中で、貧しい人々や社会的に疎外された人々は社会と国家からの特別な配慮と支援に値すると教えたように、神の愛を生活に反映させるという信念の社会的な意味合いを教皇は強調。
こうしたことからも、ヨルダンの、難民に対する受け入れと、困難な状況に置かれた人々への寛大な支援に、感謝の意を表された。
「残念ながら、思いやりや共感は今日失われつつある」と述べた教皇は、技術の進歩によって、わたしたちはこれまでになく互いに繋がるようになったが、それが一方で無関心をも生みつつあることを指摘。
絶え間なく流れる他者の困難を伝える画像や動画に、人々の心は動かされるどころか、麻痺してしまうことがある、と話された。
教皇フランシスコが「わたしたちは他者の苦しみに慣れてしまっている」と警告したように、このような無関心は、現代の最も深刻な精神的課題の一つになりつつある、と述べられた。
このような状況において、「キリスト教徒とイスラム教徒は、それぞれの豊かな伝統を基盤としながら、人間性が冷えた場所でそれをよみがえらせ、苦しむ人々の声を届け、無関心を連帯へと変えるという共通の使命に召されている」と教皇は述べ、そうした意味で、「思いやりと共感」を他者の尊厳を取り戻させる力として示された。
教皇は、諸宗教間の協力が、平和・共感・兄弟愛を表わす具体的な行いのうちに実を結ぶことを願われた。
