コンサート「平和のためのバイオリン」 2026年5月11日 バチカン市国、サンタ・マリア・デラ・ピエタ・イン・カンポサント・テウトニコ教会 コンサート「平和のためのバイオリン」 2026年5月11日 バチカン市国、サンタ・マリア・デラ・ピエタ・イン・カンポサント・テウトニコ教会 

バチカンで二つのバイオリンによる平和のための演奏会

バチカン市国内のサンタ・マリア・デラ・ピエタ・イン・カンポサント・テウトニコ教会で、広島の「被爆バイオリン」と、「ホロコーストを生き延びたバイオリン」による、平和のための演奏会が開催された。

 バチカン市国内のサンタ・マリア・デラ・ピエタ・イン・カンポサント・テウトニコ教会で、5月11日、二つのバイオリンによる、平和のための演奏会が開かれた。

 「平和のためのバイオリン」と題されたこのコンサートでは、広島の「被爆バイオリン」と、「ホロコーストを生き延びたバイオリン」が、日本とイタリアの若手バイオリニスト、吉田藍さんとチェチリア・メルリさんによって演奏された。

 開演にあたり、阿部康次・駐バチカン日本国特命全権大使は挨拶で、このコンサートで演奏される「戦争と人間の残酷さの傷跡を刻んだ」二丁のバイオリンのうちの一つは、広島の原爆投下を生き延びたバイオリンであることを紹介。このバイオリンや、また長崎の浦上天主堂のマリア像の一部のような被曝遺物が持つ「記憶を後世に伝えるという使命」に言及した。

 阿部大使は、過去を忘れ、悲劇を繰り返さないためにも、記憶は次世代へと受け継がれていく必要がある、と強調しつつ、その意味でこのコンサートが記憶を後世に伝える一助となると信じる、と話した。

 このたびのコンサートのコーディネーターを務めた、ソプラノ歌手の藤井泰子さんは、「壮絶な悲劇を通り抜けてきた二つのバイオリンであるが、生命のエネルギーを感じていただければと思う」と語りかけた。

 コンサートでは、「被爆バイオリン」と「ホロコーストを生き延びたバイオリン」による二重奏や、それぞれのソロで、A.ヴィヴァルディ、J.S.バッハ、P.カザルス等の作品が奏でられ、聖堂内をいっぱいに埋めた観客らはその美しい調べに熱心に耳を傾けていた。

 公演後、バイオリニストの吉田藍さんは、バチカン・ニュースのインタビューに答え、長崎県出身者として原爆忌などを通して平和について学ぶ機会に接してきたことから、「演奏で少しでも平和への思いを届けることができればと思った」と、この平和祈念演奏ツアーへの参加の動機を述べた。

 また、吉田さんと共演したイタリア出身のバイオリニスト、チェチリア・メルリさんは、「広島の原爆と、ホロコーストを生き残った、2つのバイオリンの演奏を通して、今日の世界でこの上なく必要とされている平和のメッセージをシェアしたかった」と話した。

 2つのバイオリンによるコンサートは、平和祈念演奏ツアーとして、これまでゲルニカ(スペイン)、ベルリン(ドイツ)、アウシュビッツ(ポーランド)、パリ(フランス)をめぐり、バチカンのサンタ・マリア・デラ・ピエタ・イン・カンポサント・テウトニコ教会、そしてチビタベッキア(イタリア)の長谷川路可氏のフレスコ画で知られる日本聖殉教者教会でのコンサートが最終公演となった。

 アートや音楽を通じて平和を広げるプロジェクトを推進し、平和祈念演奏ツアー実行委員会の代表を務める渡邊実さんは、このバチカンでのコンサートが、欧州ツアーの最後を飾る素晴らしいものとなったことに感謝と喜びを述べていた。

 

16 5月 2026, 10:43