教皇「人工知能を貧困との闘いに役立てる取り組みを」
パリで2月10日と11日、「人工知能(AI)アクションサミット」が開催された。
教皇はこれを機会に開催国フランスのマクロン大統領に宛てメッセージをおくられた。
この中で教皇は、2024年6月にイタリア・プーリアで開かれた先進7カ国首脳会議(G7)でAIをテーマにスピーチを行われた際、「人工知能プログラムを選択するプロセスにおいて、人間によるコントロール可能な空間を保証し、保護する」という急務に言及したことを思い起こされた。
教皇は、人工知能の使用から人類を守るための政治的な行程に、勇気と決意をもって取り組み始めた関係者らの努力を称えられた。
最近の回勅『ディレクシット・ノス』の中で、教皇はアルゴリズムというカテゴリーを「心」というカテゴリーと区別したいと望んだと述べ、アルゴリズムが人間を欺くために使用されることがあっても、最も内面的で真実の感情の座である「心」は決して人間を欺かない、と強調。
パリのAIサミットのすべての参加者に、人間の存在の意味は、人間の「心」からしか生まれないことを(参照 ブレーズ・パスカル、『パンセ』)、忘れないようにと呼びかけられた。
教皇は、2024年のカトリック教会の「世界平和の日メッセージ」でも記した、「人工知能の規制をめぐる議論において、貧しい人や社会から疎外された人など、グローバルな政策決定プロセスで普段耳にすることのない人々の声をも含む、すべての関係者の声を考慮に入れるべき」という意見を改めて示された。
こうした視点から、教皇は、パリのAIサミットに、人工知能に関し皆が参加できるプラットフォームの創設や、すべての国が人工知能を、発展促進や、貧困との闘い、地域の文化・言語の保護に役立てることができるような取り組みを望まれた。
そして、教皇は、こうしてのみ、地球上のすべての人々は、人工知能に利用される、全人類の特徴である真の多様性と豊かさを反映するデータの作成に寄与することができるだろう、と記された。
