「神の民の間で信じうる証しを」教皇、司祭叙階式で
教会暦で聖母マリアのエリザベト訪問を祝った5月31日、教皇レオ14世はバチカンの聖ペトロ大聖堂で捧げられたミサの中で、司祭の叙階式をとり行われた。
この日、司祭に叙階されたのは、最年少は28歳、最年長は49歳の、ローマ教区の11人の助祭たち。そのうち7人は教皇庁立ローマ大神学院、4人はローマ教区立レデンプトリス・マーテル神学院を出身とする。
聖堂内には、新司祭の誕生を祝うために、家族や友人、神学院や小教区の関係者らおよそ5500人が集った。
教皇は叙階式に先立つ説教で、「司祭職が持つ深さ、広さ、聖なる喜びの長さは、司祭と神の民の間にある絆の強さに比例する」と指摘。「司祭とは、神の民からやって来て、神の民の一員としてとどまり、神の民のために派遣されるもの」と説かれた。
同時に教皇は、「司祭のアイデンティティーは、永遠の大祭司キリストとの一致にかかっている」ことを忘れないように願われた。
「神に属する者であること、すなわち、神に仕える者であり、神の民であることは、わたしたちを地上に、理想の世界ではなく現実の世界に結びつける。イエスにとってそうであったように、御父が司祭の道の途上で出会わせるのは生身の人間である。彼らから離れず、孤立せず、受けた賜物を一種の特権とすることなく、彼らに自分自身を捧げなくてはならない」と教皇は話された。
また、教皇は、「誰も神を見たことがなかった。神はわたしたちの方を向かれ、ご自分から出て来られた。御子は聖書を説明する、生きた語りそのものとなられた。そして、わたしたちに神の子となる権限を与えてくださった。この権限以外を求めず、求めてはならない」と語られた。
聖パウロがエフェソの教会の長老たちに言った「聖霊は神の教会の世話をさせるために、あなたがたを群れの監督に任命なさった」(使徒言行録20,28)という言葉を教皇はあらゆる宣教の秘訣として示し、「主人ではなく、番人であること。なぜなら宣教はイエスのものだからである」と話された。
さらに、同じく聖パウロがエフェソの長老たちへの別れの挨拶で述べた「わたしがあなたがたと共にどのように過ごしてきたかは、よくご存知です」(同上20,18)という言葉を、心に深く刻むように教皇は勧告。
隠し立てのない生き方、人に知られた、わかりやすい、信じうる生き方を心するように招きながら、「わたしたちは神の民の中にいて、その前で信じうる証しをするよう求められている」と強調された。
そして、教皇は、「傷ついた被造物の中で、傷ついた人類に派遣され、傷ついた教会の信頼を共に再び築いていこう」と、これから司祭に叙階される助祭らに呼びかけられた。
この後、教皇は司祭の叙階式をとり行われ、集ったすべての人々が新司祭誕生の大きな喜びを分かち合った。
