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レオ14世、ペトロの後継者としての任務開始を記念するミサ

レオ14世の教皇職の開始を記念するミサがバチカンでとり行われた。

 レオ14世の教皇職の開始を記念する荘厳ミサが、2025年5月18日、バチカンの聖ペトロ広場でとり行われた。

 この日のローマは、朝から穏やかな青空が雲の合間に広がった。広場とバチカン周辺には教皇の着座を祝うためにおよそ20万人の信者が詰めかけた。また、同儀式には世界の150以上の国々から使節が参加、日本からは麻生太郎元内閣総理大臣が特派大使として参列した。諸キリスト教教会や、諸宗教の代表も多数参加した。

 レオ14世はミサ開始前、特別車パパモービルで会場を一巡し、信者らとこの日の喜びを分かち合った。

 儀式は、バチカンの大聖堂の中から始まった。東方典礼の総大司教らと共に、ベルニーニの天蓋に覆われた中央祭壇の前の階段を降りたレオ14世は、初代ローマ教皇であり、この地で殉教した、使徒聖ペトロの墓前に留まり、祈りと香を捧げた。

 二人の助祭が「パリウムの壁龕(へきがん)」前に置かれた、教皇の使徒職を象徴する「パリウム」と「漁夫の指輪(漁師の指輪)」を取り上げ、福音書を掲げると、入祭の行列が開始された。

 入祭では、教皇レオ14世にキリストの支えがあるように、聖人教皇や、殉教者たちをはじめとする諸聖人に取り次ぎを願い、「ラウデス・レジエ」が歌われた。

 行列に伴われ大聖堂から広場へと出た教皇は、祭壇へと向かい、ミサが始まった。

 レオ14世の教皇職の開始を祝うこのミサのために、大聖堂の正面下には、イエスが漁師シモン(ペトロ)を弟子にする場面を描いたラファエッロ作の「奇跡の漁り(すなどり)」を下絵に制作したタペストリーが架けられ、祭壇の脇には、同教皇にゆかりの深い、ローマ郊外ジェナッツァーノの聖母巡礼聖堂に由来する、「よき勧めの聖母」の聖画が置かれた。

 前半のことばの典礼では、第一朗読で、「使徒言行録」中の、ペトロがイエス・キリストこそ「家を建てる者に捨てられたが、隅の親石となった石」であり、ほかの誰によっても、救いは得られないと説く箇所(4, 8-12)が、第二朗読では、「ペトロの手紙一」より、ペトロが教会における牧者の役割と義務について長老たちに話す箇所(5, 1-5. 10-11)が、そして福音朗読では、「ヨハネ福音書」中の、イエスがペトロに「わたしを愛しているか」と三度尋ねた後、「わたしの羊を飼いなさい」と言われる箇所(21, 15-19)が読まれた。

 この後、パリウムと漁夫の指輪を新教皇に託す儀式が行われた。

 パリウムは、聖アグネスの日に祝別された子羊の毛で織られた細長い帯状の布を輪にし、中央にその一端を垂らした形をしたもの。純白の生地にはキリストの聖痕を表す6つの十字が黒い絹糸で刺繍されている。これを祭服の上から肩に掛け、十字架の釘を思い出させる3本の長いピンで留める。パリウムを肩にかけた姿は、羊を背負った善き羊飼いを象徴している。

 一方、ペトロの後継者である教皇がはめる漁夫の指輪は、印章としての役割をも持っている。この印章は、兄弟たちを励ますペトロの使命とその信仰の正真性を証明するものでもある。漁夫の指輪の名は、「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしよう」(マタイ4、19)、「今から後、あなたは人間をとる漁師になる」(ルカ5,10)という、イエスがペトロを召し出した時の言葉や、イエスの言葉に信頼して降ろした網に、舟が沈みそうなほどの、いっぱいの魚がかかった「奇跡の漁り」のエピソード(ルカ5,1-11)を彷彿させるものである。

 パリウムと漁夫の指輪を託す儀式では、枢機卿団内の名義上の3つのグループ、「助祭」「司祭」「司教」の各オーダーの中から選ばれた、それぞれ出身大陸の異なる3人の枢機卿が、一人ずつ教皇の前に進み出た。そして、最初の一人はパリウムを、二人目は、教皇の上に主の現存と支えがあるようにとの祈りを、最後の一人は指輪を、それぞれ教皇に贈った。

 続いて、全教会の成員たちの教皇への忠実を象徴的に表す「従順の儀式」が行われた。ここでは、教会を代表し、枢機卿、司教、司祭、助祭、修道者、信徒らの代表が、教皇の前で敬愛と従順を態度で示した。

 教皇は説教で、憎しみと暴力、偏見や異なるものへの恐れによって傷ついた世界に、一致と愛をもって答えるように招いた。

 また、教皇はペトロの役割について、「共に歩みながら、兄弟たちの信仰に奉仕する」ことと述べ、孤高の指揮官となる誘惑に陥ることなく、群れを引き上げなくてはならないと話した。

 ミサの後半、教皇は聖母賛歌レジナ・チェリの調べに、人々と声を合わせた。その際、教皇はミサに参列したすべての使節と人々に感謝を述べられた。

 同時に、教皇は、ガザ地区、ウクライナ、ミャンマーなど、戦争に苦しむ人々に思いを向け、平和の賜物を聖母の取り継ぎに託して祈った。

 こうして、着座の儀式を終えられた教皇は、大聖堂内に入られ、世界各国の代表一人ひとりと挨拶を交わされた。

18 5月 2025, 14:52