麻薬乱用撲滅デー:教皇「依存を作り出す者たちと闘う必要」強調
6月26 日、国連の「国際麻薬乱用撲滅デー」が記念された。
同日、教皇レオ14世は、現在開催中の「希望」をテーマにした2025年の聖年を背景に、麻薬・覚醒剤など違法薬物の取引の撲滅や、薬物依存からの回復を目指す人々との集いを行われた。
バチカンの「聖ダマソの中庭」を会場にしたこの集いでは、イタリア政府関係者から同テーマに対する取り組みや、かつて薬物依存に陥っていた女性からはその更生のストーリーが紹介された。
「あなたがたに平和があるように」。教皇はこの出会いの冒頭で、復活したイエスのこの言葉をもって、参加者らに挨拶をおくられた。
復活の夕方、イエスは家に鍵をかけて閉じこもっていた弟子たちの中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と挨拶された。弟子たちはイエスを見捨て、イエスを永遠に失ったと思い、失望と恐れに囚われ、その中にはすでに去って行った者たちもいた。それでもイエスは彼らを探して再び戻って来られた、と教皇は話された。
教皇は、弟子たちが鍵をかけて生き埋めになったように暮らしていたその家の扉からイエスは入って来られ、平和をもたらし、赦しと聖霊の息吹きをもって再び弟子たちを元気づけられた、と語られた。
「息が詰まりそうな時、先が見通せない時、わたしたちの尊厳は枯れてしまう。しかし、復活されたイエスは再び戻られ、その息吹きをもたらしてくださることを忘れてはならない」と教皇は述べられた。
「薬物依存は目に見えない牢獄だが、わたしたちは皆、自由へと召された存在である」、と教皇は強調。
平和と喜びを見出すために、「一緒」であることを鍵として示され、「悪は一緒に打ち勝つもの。喜びは一緒に見出すもの。不正義は一緒に闘うもの」と語られた。
教皇は、わたしたちの闘いは、今や大きなビジネスとなっている、違法薬物や、アルコール、ギャンブルなど、これらの「依存を作り出す者たちとの闘い」であると述べ、これらをめぐる巨大な利益の構造や複雑に入り組んだ犯罪組織を解体する義務を国々は持っている、と話された。
これらのシステムや犯罪の「犠牲者たち」と闘うことは簡単である、と教皇は述べながら、治安の名の下に貧しい人々と闘い、死の連鎖のシステムの末端にいる人々で刑務所をいっぱいにすることがあっても、そのシステムの鎖の先を握っている人々は罰せられず、影響を行使し続ける、と指摘。
「わたしたちの町は、疎外された人々からではなく疎外から解放されなくてはならず、絶望的な状況に置かれた人々ではなく絶望を一掃しなくてはならない」と説かれた。
「わたしたちは皆、自由であるために、人間的であるために、平和のために、召されている」と述べた教皇は、いやしと出会いと学びの場所を増やしながら、一緒に歩んでいこう、と集いの参加者らに呼びかけられた。
