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テクノロジーの賢い利用を、教皇、生徒たちとの集いで

「教育界の聖年」が開催される中、教皇レオ14世は、バチカンで生徒たちとの活気あふれる集いを持たれた。

 バチカンでは、10月27日(月)から11月1日(土)まで、「教育界の聖年」が開催されている。

 この聖年行事の一つとして、10月30日(木)、教皇レオ14世と生徒たちとの集いが行われた。

 集いには、イタリアはもとより、ヨーロッパ、ラテンアメリカなどから、中学生と高校生を中心に約8500人の生徒が参加。生徒らはメイン会場のパウロ6世ホール内だけでなく、同ホールのエントランス・ギャラリーや、ホール前の広場に設けられた臨時の会場からも参加した。

 最初に、ホールの外から大型スクリーンを通して参加する生徒たちとお会いになった教皇は、「メキシコ!」「ローマ!」「ポーランド!」と、青少年たちの出身国や所属教区の名を呼んで歓迎しつつ、「福音は、『後にいる者が先になる』と言いますが、今日はその通りになりました」と話し、皆を活気づけられた。

 続いて、謁見ホールのエントランスの生徒たちにも同様にお会いになった後、教皇がメインホールに入場されると、若者たちの割れんばかりの歓声がわき起こった。

 レオ14世は、元気あふれる生徒たちを前に、「皆さんとの出会いを心待ちにしていました」と述べながら、「皆さんのような生き生きとした若者たちに数学を教えていた日々を思い出します」と喜びをもって語りかけられた。

 教皇は生徒たちに、この聖年中の9月に列聖された若き聖人ピエル・ジョルジョ・フラッサーティの「信仰なく生きることは、生きるのではなく、生き延びるに過ぎない」と「高きに向かって」という2つの言葉を示しながら、人生を精一杯生きる勇気を持ち、常に高みを目指しつつ、歴史の闇の中に希望の光を灯して欲しいと願われた。

 レオ14世は、前任の教皇フランシスコが始められた、「グローバル教育協定」プロジェクトと、普遍的兄弟愛の推進において若い世代の参加を促す、教育・文化分野で働く人々のネットワークに言及。

 若者たちに、教育の受け手であると同時に主役となり、「教育の新しい季節」を切り開くために皆で一致し、真理と平和の信頼しうる証し人となって欲しいと希望された。

 教皇は、宇宙の星の数は1000兆個とも言われ、条件のよい空で肉眼で見える星はおよそ5000個であると語り、広大な宇宙へと若者たちの心の眼差しを招いた。

 しかし、これだけ多くの星の中でも、わたしたちが見ているのは、最も近くにある星座たちであり、これらはわたしたちに方向を示してくれる存在である、と教皇は話された。

 こうした星の集まりの中にも特に指針・道しるべとなる星があるが、皆さんの人生にとっての導きの星は、ご両親や、先生、司祭、よい友人たちである、と指摘。

 また、「星は一つでは遠くに留まっているが、他の星と一緒になり星座を形作るように、いわば皆さんも一人ひとりが一つの星であり、皆と一緒になって、未来の方角を指し示すように招かれている」、「わたしたちは、神のきらめきとしての星である。教育とはこの恵みを育むことである」「教育は、高きを見つめるようにわたしたちに教える」と説かれた。

 今日の教育が取り組むべき新たな課題として、デジタル教育を挙げた教皇は、テクノロジーを賢明さを持って利用し、テクノロジーに自分が利用されないように、と願うと共に、人工知能についても、情緒的、霊的、社会的、エコロジー的知性の構築はもとより、デジタル環境に人間性をもたらし、兄弟愛と創造性の空間を築くようにと述べられた。

 そして、インターネットに隷属せず、それを善のために活用し、美しい信仰を情報技術への情熱と結びつけた聖カルロ・アクティスを、若者たちの模範として示された。

 また、教皇は平和教育の重要性に触れ、平和のためには、武器を収めさせるだけでなく、心の武装を解くことが必要と強調。

 家庭や、学校、スポーツ、友人間など自分が置かれた場所で、また異なる文化との出会いの中で、平和を作り出す者となるようにと、呼びかけられた。

 教皇は若者たちに、「皆さんの眼差しが、淡い希望を託す流れ星ではなく、より高くへ、『正義の太陽』であるイエス・キリストへと向かうように。イエスは皆さんの人生の道のりを常に導いてくださるでしょう」と励まされた。

30 10月 2025, 18:29