シノドス関係者の聖年:教皇と参加者との対話
「シノドス関係者の聖年」が、10月24日(金)から26日(日)までバチカンで開催された。
この聖年の行事には、各地の教会から世界代表司教会議(シノドス)の担当者や参加者らが参加。
初日24日午後から、開始の祈りと第1セッションとしての全体会議(挨拶および代表者らの講演)が、そして第2セッションとして、教皇レオ14世との出会いと対話が、パウロ6世ホールで行われた。
翌25日早朝、関係者らは聖ペトロ大聖堂の「聖なる扉」に向けて巡礼。午前から午後にかけて、言語・テーマ別の分科会・セミナーに参加した。夕方、第3セッションとして最終の全体会議が、また夜には聖ペトロ広場で聖母への祈りがとり行われた。
そして、「シノドス関係者の聖年」の最終日、26日、関係者らは聖ペトロ広場で、教皇レオ14世による記念ミサに参列した。
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初日の夕方行われた、教皇レオ14世との出会いと対話では、世界5大陸および東方典礼カトリック教会の代表が、教皇にシノドスそのものや、シノドス的な教会のあり方をめぐり質問。レオ14世は、これらの問いに耳を傾けられ、原稿を用いずに率直な回答を行われた。
たとえば、シノダリティが自分たちの司牧上の権威を弱めてしまうのではないかと懸念する司教や司祭たちにどのように対応すべきか、という問いに、教皇は、こうした抵抗は、しばしば恐れや、認識・理解の欠如から生じている、と指摘。
実際、各地域からの報告の多くが、育成の必要を最優先事項に挙げている、と教皇は述べながら、共に歩む教会の姿勢について、学校や、神学校、成人信徒を対象とするものなど、あらゆるレベルでの育成の重要性を示された。
同時に、教皇は、すべての人が同じ速さで走れるわけではなく、時には互いに忍耐し合う必要もあることを理解すべきと語り、一部の人だけが先を走り、残りの人々を置き去りにしてしまうならば、教会生活に分裂を生みかねない、と話された。
そして、それぞれの地域の状況を把握し、どのような抵抗があり、その原因は何か、シノドス的な教会の交わりを生きるよう励ますために何ができるか等を知るための具体的な方法を見つけなくてはならない、と述べられた。
また、わたしたちの社会がよりインクルーシブで、公平で、平和構築に貢献するものとなるために、シノドスのプロセスはどのようにそれを励まし、インスピレーションを与えることができるか、という、ラテンアメリカを代表した問いがあった。
これに対し、教皇は中南米の教会のシノドスへの長年の取り組みに謝意を表すると共に、ラテンアメリカの信仰の恵みや情熱、交わりの精神、兄弟愛などから、真のシノドス的歩みを続ける上でわたしたちは多くを学んだと、全教会からの感謝を述べられた。
教皇は先の質問に答えるにあたり、ご自分の「個人的」な体験、と前置きした上で、自分の人生で何かのプロセスからインスピレーションを得たことはあまりなく、むしろ、信仰における情熱を生きる人たちからインスピレーションを受けてきた、と話された。
教皇は、今体験している聖年が回心、和解、そしてイエス・キリストから授かった新しいいのちへの招きであることを理解し、シノドス的霊性はもとより、福音の霊性、交わりの霊性、教会でありたいと願う霊性を生きることが大切と述べられた。
キリストご自身との親密さの体験は、この歩みにおいて、宣教的で忠実な弟子になりたいとの願望を心に燃え上がらせてくれるだろう、と教皇は語り、この熱意と確信をもって生きる時こそ、より多くの人たちがわたしたちに加わり、平和と交わりの構築者となることを望むだろう、と話された。
このほか、シノドス的教会において、女性はどのような希望を正当に育むことができるか、という問いを受け、教皇はここでも、個人的な体験ではあるが、と述べた上で、1970年代、米国で男女平等が盛んに話題にされていた時代、父親と共に非常に活発に小教区活動に携わっていた自身の母親に、「女性の皆さんは男性と同じようになりたいと思っていますか」と尋ねたところ、「いいえ、わたしたちはすでにもっと優れていますから」と答えた、というエピソードを回想。
当時にすでに、自分の母親だけに限らず、女性たちは様々な意味で、家庭生活や小教区のために多くの才能を捧げることが可能だった、と振り返った。
教皇はもう一つの体験として、ペルーにおけるある女子修道会の話をされた。この女子修道会のカリスマは、司祭がいない地域で奉仕することであった。修道女たちは洗礼を授ける権限を持ち、結婚式で公式の証人を務め、素晴らしい宣教活動をし、多くの司祭たちにとってもそれは信仰の真の証人たちであった、と思い起こされた。
こうした体験から教皇は、問題は、女性に可能性が存在しないことではなく、文化的な障害が存在していることにあると、考えを述べられた。
すべての司教や司祭が、女性たちがその役割をよく果たすことを望んでいるわけではない、と教皇は述べ、この問題を皆が認識する必要を強調された。
さらに、アジアの教会へのシノドス的回心を励ますメッセージを求められた教皇は、シノダリティのみならず、交わりや回心を推進しながら、今日、ここに到達するまでに大変な働きをしたアジアの教会に心からの感謝を表明。
フィリピンを除き、キリスト教が少数派のいたる場所で、多くの困難や抑圧にも関わらず、信仰を生き、イエス・キリストの弟子としての姿を示し続けるアジアの教会、教会の今日と未来を表すアジアの地に、わたしたちは敬意を表さなくてはならない、と話された。
