教皇:迫害されるキリスト者は正義・真理・希望の証しに召される
教皇レオ14世は、11月16日(日)、バチカンでお告げの祈りを巡礼者と共に唱えられた。
典礼暦・年間第33主日、教皇は祈りに先立ち、この日の福音朗読箇所、イエスが神殿の崩壊を予告する場面(ルカ21,5-19)を取り上げ、説教を行われた。
教皇の説教の要旨は次のとおり。
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典礼年が終わりに近づく中、今日の福音(ルカ21,5-19)は、歴史の苦難と物事の終末について考えさせます。わたしたちの心を知っておられるイエスは、これらの出来事を見ても、何よりも怖れに負けないように、「戦争とか暴動のことを聞いても、おびえてはならない」(ルカ21,9)と招いておられます。
イエスの呼びかけは、まさに今日にあてはまるものです。残念ながら、無数の人々に苦しみを与える、紛争や、災害、迫害のニュースが毎日のように届きます。これらの苦難や、それらを無視しようとする無関心を前に、イエスの言葉は、悪の攻勢はご自身を信じる者たちの希望を打ち砕けないと告げています。夜のように闇が深い時ほど、信仰は太陽のごとく輝くのです。
実際、イエスは、「わたしの名のために」、多くの人が暴力や裏切りを受けるだろうと、二度にわたり言われます(参照 ルカ21,12、同21,17)。しかし、まさにその時こそ、彼らにとって、証しをする機会となるのです(参照 ルカ21,13)。
十字架上でご自身の無限の愛を啓示された師の模範に沿って、イエスの励ましはわたしたち皆に向けられたものです。事実、キリスト者への迫害は、武器や虐待によるだけでなく、言葉、すなわち偽りやイデオロギー的な操作によっても行われます。特にこのような肉体的・倫理的な悪に苦しめられている時こそ、わたしたちは、世を救う真理、人々を抑圧から解放する正義、すべての人に平和の道を示す希望を、証しするよう召されています。
イエスの言葉は、歴史の災難と苦しみには終わりがあるが、イエスを救い主と認める人々の喜びは永遠に続くと、預言的な形で明言します。「忍耐によって、あなたがたは命をかちとりなさい」(ルカ21,19)。主のこの約束は、脅かす歴史上の出来事やあらゆる侮辱に耐える力を与えてくれます。わたしたちは苦しみに対して無力なままではありません。なぜなら、主ご自身が「言葉と知恵」(同21,15)を与えてくださるからです。それは、燃える心をもって、常に善い業を行うためです。
親愛なる皆さん、教会の歴史を通じて、特に殉教者たちは、神の恵みが暴力さえも贖いのしるしに変えることができると、わたしたちに思い出させてくれます。ですから、イエスの名のために苦しむ兄弟姉妹たちと一緒に、キリスト教徒の助け手なる聖マリアの取り次ぎを信頼をもって願いましょう。あらゆる試練と困難の中で、聖母マリアがわたしたちを慰め、支えてくださいますように。