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「小ささの論理こそが、教会の真の力」教皇、イスタンブールで祈りの集い

教皇レオ14世は、トルコ共和国訪問2日目、イスタンブールでカトリック教会関係者と祈りの集いを持たれた。

 11月28日、教皇レオ14世はトルコ共和国への訪問2日目を迎えた。

 前晩、首都アンカラよりイスタンブールに到着された教皇は、この朝、市内のカテドラルで、カトリック教会関係者と祈りの集いを持たれた。

 イスタンブールのカトリック・ラテン典礼のカテドラルは、1846年に献堂された。このカテドラルには、これまでパウロ6世(1967)、ヨハネ・パウロ2世(1979)、ベネディクト16世(2006)、フランシスコ(2014)の4人の教皇が訪れている。

 カテドラルの入り口で、レオ14世は子どもたちをはじめ、信者たちの熱心な歓迎を受けられた。教皇は主任司祭が差し出す十字架に接吻された後、聖水を散水し、聖堂と会衆を祝福された。

 トルコの聖職者・修道者・信徒らを前に行われた講話で、教皇はイスラエルの民とキリスト教が出会い、旧約聖書と新約聖書が抱擁し合う地、トルコにおける豊かな信仰の歴史、そこに見られる教会の様々な典礼様式、この地で開催された数々の公会議などに言及された。

 長い歴史の豊かさから生まれたトルコの教会で、今日、皆さんはアブラハムや、使徒たち、教父たちから受け継いだ、信仰の種を育むように召されている、と話された。

 神の王国は、注目を集めることで無理矢理に示されるものではなく(参照 ルカ17,20-21参照)、土に蒔かれた、どんな種よりも小さい種のように成長する(参照 マルコ4,31)。

 この小ささの論理こそが、教会の真の力である、とレオ14世は強調。教会の力は、そのリソースや構造にはよるものではなく、また、その使命の実りは、数的な支持や、経済力、社会的影響力から生まれるものではない、と話された。

 それに対して、教会は神の子羊の光のもとに生き、その周りに集い、聖霊の力によって世界の道へと導かれていく。この使命において、教会は常に、「小さな群れよ、恐れるな。あなたがたの父は喜んで神の国をくださる」(ルカ12,32)という主の約束を信じるよう新たに招かれている、と語られた。

 トルコのカトリック教会は小さな共同体ではあるが、神の王国の種や酵母のごとく実り豊かな存在である、と教皇は述べ、信仰と、神との一致に基づく、確かで希望に満ちた霊的態度を育むように皆を励まされた。

 教皇は、希望に満ちたしるしの一つとして、問いや不安を抱えカトリック教会の扉を叩く多くの若者たちの存在を挙げ、若者たちの声に耳を傾け、彼らに寄り添うようにと願われた。

 また、トルコの教会の召命として、エキュメニカルおよび宗教間の対話、地域の人々への宣教、難民や移民への司牧活動に力を注ぐよう促された。

 教皇はこの地で8つの公会議が開催されたことに触れながら、特に今年、第一ニケア(ニカイア)公会議から1700周年を迎えるにあたり、この会議から学ぶべき今も有意義な課題として3つの視点を示された。

 一つは、信仰と、キリスト者であることの本質を理解することの重要性である。信仰の象徴をめぐって、ニケア公会議で教会は一致を見出した、と教皇は述べた。

 二つ目は、キリストにおいて父なる神の御顔を再発見することの緊急性である。ニケア公会議は、イエスの神性と御父との同質性を確認しており、イエスにおいて、わたしたちは神の真の御顔と、人類と歴史をめぐる神の決定的な御言葉を見出すことができる、と教皇は説かれた。

 第三の視点は、信仰の仲介と教義の発展についてである。複雑な文化的背景の中で、ニケア信条は、当時の文化的・哲学的カテゴリーを通し、信仰の本質を仲介することに成功した。その数十年後には、第一コンスタンチノープル(コンスタンティノポリス)公会議において、この信条がさらに教義的に深化されることによって、新たな表現、すなわち、ニケア・コンスタンチノープル信条が生まれた過程を教皇は振り返った。

 レオ14世はここで学ぶべき教訓として、キリスト教の信仰は、わたしたちが生きる背景に沿った言語やカテゴリーで常に仲介される必要があること、しかし同時に、信仰の核心と、それを表現する歴史的な形式や様式とを区別する必要をも指摘。後者は常に部分的で暫定的なものであり、教義の深化に従って変化する可能性があるためである、と説明された。

 レオ14世は、トルコとギリシャの教皇使節を務めた聖ヨハネ23世が、ある晩、イエズス会の修道院の窓から、ボスポラス海峡の漁師たちが船や網のまわりで忙しく働く様子を見て記した言葉を次のように引用した。「その光景はわたしを感動させた。昨夜1時頃、激しい雨が降っていた。しかし、漁師たちは恐れることなく、過酷な労働を続けていた。[…] ボスポラス海峡の漁師たちのように、それぞれが小さな舟の上で、霊的指導者の命ずるように、松明を灯して、昼夜を問わず働く。これこそ、わたしたちの重大にして聖なる義務なのである」。

 「この情熱に駆られ、信仰の喜びを保ち、主の舟の上で勇敢な漁師として働くことを願っています」と、レオ14世はトルコの教会関係者らを励まされた。

 

28 11月 2025, 13:24