教皇:文化の空洞化を前に、信仰を真剣に考察する必要を強調
教皇レオ14世は、11月14日、ローマ市内の教皇庁立ラテラノ大学を訪問、新年度の開講を関係者らと共に祝われた。
教皇庁立ラテラノ大学は、1773年、当時の教皇クレメンス14世が、司祭育成のためコレッジョ・ロマーノの神学部を教区の司祭たちに託し、教皇に属する教育機関としたことを創立の起源とする。
以来、後続の教皇たちは、同校との特別な絆を保ちながら、組織の発展と教育・研究の深化のために尽くしてきた。
今日のラテラノ大学は、神学、哲学、教会法、世俗法の4学部の他、平和研究と、エコロジー・環境研究の2つのコース、また学内に2つ、外部に3つの研究所を持つ。
「アウラ・マーニャ」(大講堂)で行われた新年度開講式の挨拶で、レオ14世は、歴代の教皇たちと共に歩んだ同大学の発展の歴史を振り返った。
教皇たちとの特別な絆を持つ同大学が「教皇の大学」と呼ばれていることについて、かつて聖ヨハネ・パウロ2世が、「このタイトルは当然名誉あるものであるが、同時に重い責任を負うもの」と述べたことを、レオ14世は回顧。
他の大学のように、守り、発展させるべき創設者のカリスマを持たず、教皇の教えをそれに代わるものとする、ラテラノ大学特有の性格と方向性を指摘された。
教皇は、今日広がりつつある文化の空洞化を前に、信仰について真剣に考察する必要を示しつつ、特に、神学部には、信仰の遺産について考え、現代の多様な状況の中で信仰の美しさと信頼性を浮かび上がらせ、今日の諸問題に預言的変化をもたらし、神の探求を促すことが求められている、と話された。
また、教皇は、近年創設された平和研究とエコロジー・環境研究のコースについて、神の御国のために、平和と正義のために働く人々を育成するように召された教会の、最近の教えの本質的なテーマに取り組むものとして期待を示された。
ラテラノ大学が、未来に目と心を向け、現代の課題に挑むために必要な点として、教皇は自分自身の研究の中に閉じこもらない、相互的、対話的文化の推進を励まされた。
同時に、教皇は専門研究を保護し発展させる必要に言及。学問は現実生活に役立たない、教会においては神学・聖書学・教会法学の素養よりも司牧の実践の方が大事、というしばしば見受けられる考え方は、考えることを避けるために複雑な問題を単純化し、司牧活動を凡庸なもの、あるいは頑ななものにする誘惑に陥りかねないと、注意を促された。
さらに、教皇は、同大学がその教育と研究を通し、無償の精神と真理と正義への情熱のもとに、連帯と兄弟愛に満ちた新しい世界の構築に取り組む人材の育成を目指し、新しい世界と共通善の追求の象徴・表現となることを希望。
ラテラノ大学がこうした情熱と共にキリスト教信仰の神秘を深く探求し、世界や社会、今日の問いや課題との対話の訓練の場であり続けることを願われた。
