検索

レオ14世、トルコとレバノン訪問後、機内で記者会見

教皇レオ14世は、トルコとレバノンの中東2カ国訪問を終了し、ベイルートからローマに戻る特別機の機内で、随行の記者団と会見された。

 教皇レオ14世は、12月2日、レバノン司牧訪問を終え、帰国の途につかれた。

 レオ14世は、11月27日より、登位後最初の海外訪問(イタリアは除く)として、トルコとレバノンの中東2カ国を訪れていた。

 ベイルートからローマへ戻る特別機の機内で、教皇は81名からなる随行の記者団と会見された。

 教皇は会見を始めるにあたり、「まず初めに、多くのお仕事をされた皆さんに感謝申し上げます。今回の旅の重要なメッセージを伝えるために尽力されたトルコとレバノンの他のジャーナリストの方々にもお伝えください。皆さんのこの旅に大きな拍手を」と語りかけられた。

 記者との質疑応答は、教皇レオ14世が訪問した中東における和平の問題が第一のテーマなった。

 レバノンの記者は、教皇に、和平プロセスを主導するアメリカ出身の教皇として、トランプ大統領やネタニヤフ首相との人脈を活用するつもりはあるか、イスラエルによるレバノン侵攻の阻止の問題を取り上げることはできるのか、また、この地域に持続可能な平和は可能なのか、と質問した。

 教皇はこれに対し、「そうです。持続可能な平和は可能だと思います。わたしたちが希望を語り、平和について話し、未来を見つめるのは、この地域とあなたの祖国レバノンへの平和の新たな訪れは可能だからです」と答えた。レオ14世は「実際、先ほど言われた国々の指導者の何人かとすでに会談しています。個人的に、あるいは教皇庁を通じて、今後もそうしていくつもりです」と話し、レバノン最終日のミサの終わりにも述べた「平和への呼びかけ」を、「今後も高めていくことがわたしたちの希望」であると語った。

 レバノンの別の記者は、教皇の同国での最後のスピーチは「交渉する、対話する、構築する」という明確なメッセージを当局におくったが、バチカンはこの意味で何か具体的な行動を取るのか、と尋ねた。

 教皇は、この中東訪問は、ニケア(ニカイア)公会議をテーマにエキュメニカル問題を考えるために生まれたものであり、教会の一致を求めてカトリックと正教会の指導者たちが出会うことを主眼としたものではあるが、と述べつつ、「事実、この旅行中、この地域における国内の対立や国際的紛争に何らかの関わりを持つ政治当局の個人や団体の代表とも個人的に会談した」と話した。

 教皇は「わたしたちの活動は原則として、表で公言するものではなく、どちらかというと水面下のものです。わたしたちは、これまでもそうしてきたように、これからも、武器と暴力を放棄し、一緒に対話のテーブルに着くようにと当事者らを説得するための活動を続けていくでしょう。それは暴力によらない、より効果的な答えと解決を模索していくということです」と語った。

 同記者は、訪問の前にヒズボラが教皇にメッセージを送ったが、それを受け取り、読んだかと尋ねた。

 教皇はそのメッセージを見たと述べ、「教会側からの提案は、当然、武器を捨て、対話を模索するようするようにというものです。しかし、現時点ではこれ以上のコメントは控えたいと思います」と答えた。

 米国の記者は、コンクラーベの際、そこで起きつつあることが明らかになった時に、どのように感じたかを、教皇自身はこれまで決して語っていないが、それについて何か話せることはあるか、と問いかけた。

 教皇は「1、2年前には、自分もいつか引退することを考えていました」と明かし、随行記者団の中の、近々年金生活に入るという一人のジャーナリストと比較しながら、「彼女がこの贈り物を受けたことは確かですが、それに対して、わたしたちの中の誰かは、働き続けなければならないようです」と話された。

 教皇は、たとえ公的なインタビューなどでいくらかのことが明らかにされていても、「コンクラーベの秘匿性は絶対であると信じています」と述べられた。

 レオ14世は、コンクラーベで教皇に選出される前日、アウグスチノ会の会員たちと昼食に行く途中に、ある記者に呼び止められ、「あなたは候補者の一人なっています。どう思いますか」と尋ねられたが、「『すべては神の御手の中にあります』とだけ答えました」と述懐。そして、教皇は「わたしはそう深く信じています」と語られた。

 教皇はこの問いに関連して、先日あるドイツ人の記者から、「何か一冊、本を教えてください。聖アウグスティヌス以外の本で、わたしたちがそれを読むことで、プレヴォスト(教皇の苗字)とは誰なのかがわかる本を」と言われ、たくさんある中で「The Practice of the Presence of God」という本を挙げたことを紹介。

 「本当にシンプルな本で、昔に書かれたものです。著者は苗字さえ添えずに、ローレンス修道士とだけ記されています。しかし、そこには、自分の人生をただ主に捧げ、主に導かれるための、祈りと霊性が書かれています」と説明された。

 教皇は「わたしについて何かお知りになりたいならば、これがわたしの長年の霊的状態でした。大きな困難の中、テロの時代をペルーで過ごし、自分が思ってもいなかった場所で奉仕する召命を受けました」と語り、「わたしは神に信頼しています。そして、このメッセージを、すべての人々と共有したいと思います」と話された。

 「さて、それでどうなったでしょうか」と、レオ14世は、コンクラーベの状況を目にした際の話に戻り、「事態を見て、わたしは諦めて『これは現実になるかもしれない』と言いました。そして、深呼吸をして、『主よ、わたしはここにおります。あなたが頭(かしら)です。あなたが道を導いてくださいます』と言いました」と、その時のことを思い起こされた。

 アルゼンチンの記者は、来年、どのような海外訪問を計画しているか、と質問した。

 これに対して、教皇は、「旅行については確定的なものはありませんが、アフリカへの訪問をぜひ実現したいと思っています」と答えた。記者が「それはどこ(の国)ですか」と問うと、「アフリカ、アフリカです」と再び答えられた。

 教皇は、「個人的には、アルジェリアに行きたいと願っています」と話し、「それは聖アウグスティヌスのゆかりの地を訪問するためですが、キリスト教世界とイスラム教世界の間の対話を継続し、橋を架けるためでもあります」、「興味深いことに、聖アウグスティヌスの人物像は、この橋渡しとして非常に役立っています。なぜなら、アルジェリアでは彼は祖国の子として非常に尊敬されているからです」と語られた。

 教皇は、他の国々についても計画中だが、当然ラテンアメリカを訪問できればうれしい、と述べ、特にアルゼンチン、ウルグアイを国名として挙げられた。また、ペルーに行く際には、他の近隣国にも行きたいが、その計画はまだ具体化されていない、と話された。

03 12月 2025, 22:47