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教皇レオ14世、考古学の重要性をめぐる使徒的書簡

教皇レオ14世は、教皇庁立キリスト教考古学研究所創立100周年を機会に、考古学の重要性をめぐる使徒的書簡を発表された。

 Vatican News

 『教皇レオ14世の考古学の重要性をめぐる使徒的書簡 教皇庁立キリスト教考古学研究所創立100周年を機会に』が発表された。

 教皇庁立キリスト教考古学研究所は、1925年12月11日、教皇ピオ11世によって創立された。

 レオ14世のこの書簡は、同研究所の創立からちょうど100年を迎えた2025年12月11日に公布された。

 同書簡で、レオ14世は「キリスト教は観念から生まれたのではなく、肉体から生まれた」、と強調。キリスト教の信仰は「具体的な出来事、顔、身振り、ある言語、ある時代、ある場所において語られた言葉」の上に成り立つと述べながら、物質的なものと神秘とを、キリスト教考古学において交差する二つの糸として示している。

 考古学と神学は考古学者の仕事において密接に絡み合い、「信仰の素材」を丁寧に扱う鋭い感性によって支えられている。「石、遺跡、そして遺物を掘り起こすことで、信仰に触れたものは何一つ無意味ではないということが分かる」と教皇は説明する。

 あらゆる小さな証しは注目に値し、無視されるべきではない。したがって、考古学は「文化の持続可能性と霊的エコロジーの学舎」であり、「マテリアル、記憶、歴史に対する尊重の教育」の場であるとしている。

 レオ14世は、フランシスコ教皇の大学改革をめぐる使徒憲章『ヴェリタティス・ガウディウム(2018)』に言及しながら、考古学は、教会史と教父学と共に、神学の基本的学問の一部であるべきことを思い出させている。

 また、考古学の任務は、福音を伝えること、教会の始まりの生きた記憶の保存を助けること、そして画像、形態、空間によって救いの歴史を語ることだ、と教皇は言う。

 教皇は、ルーツを見失いがちな時代において、考古学は歴史の真実からキリスト教の希望と聖霊の新しさへと開く、福音宣教の貴重な手段となりうる、と述べている。

 考古学は、「対話の強力な手段として、遠い世界、異なる文化、世代間に橋を架けることに貢献し、キリスト教の信仰とは決して閉ざされた現実ではなく、人類の歴史の最も深部にまで浸透可能な、ダイナミックな力であったことを証しすることができる、と教皇は述べている。

 1925年、「平和の聖年」にピオ11世によって創立された教皇庁キリスト教考古学研究所の歴史を教皇は振り返りながら、同研究所の100周年を「希望の聖年」に迎えたことを指摘。多くの戦争に動揺する人類に、この偶然は新たな展望をもたらすもの、と期待を寄せている。

 さらに、教皇は、考古学において、東方キリスト教界との関係に豊かな土壌を見出すことができると述べ、共通のカタコンベや教会、典礼上の類似、繋がり合う殉教史など、これらすべてが共有され、高められるべき霊的・文化的遺産を構成していると記している。

 教会には記憶を通して教育を行う召命があり、キリスト教考古学はそのための最も高貴な手段の一つであると教皇は述べ、それは、過去への逃避を意味せず、自覚をもって今を生き、ルーツの元に未来を築くことである、と説いている。

 考古学は「信仰が迫害、危機、そして変化に抵抗し」、自らを刷新し、再び作り出し、新たな形で発展してきたことを示しているという意味で、希望に奉仕する存在であると教皇は述べている。

 最後に、教皇は、「キリスト教考古学は奉仕であり、召命であり、教会と人類に対する愛の形である。いのちの御言葉を目に見える形にし、神が受肉されたこと、救いがその足跡を残したこと、神秘が歴史を物語るものとなったことを証しするという、皆さんの使命の深遠な意味に忠実であってください」と、情熱を持って伝えるべき、貴重かつ厳密なこの研究の継続をアピールされた。

12 12月 2025, 13:17