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教皇、貧しい人を無視して突き進む社会に警告

レバノン訪問最終日、教皇レオ14世は、ベイルート近郊の精神科病院を訪問された。

 教皇レオ14世のレバノン訪問は、12月2日、最終日を迎えた。

 同日早朝、教皇は、首都ベイルートから10kmのジャル・エド・ディブの十字架病院を訪れた。

 同病院は、中東で最大の精神障害者のための医療施設の一つで、福者アボウナ・ヤーコブ神父(カプチン会司祭 1875-1954)によって設立された。同神父自らが自ら創立した十字架のフランシスコ修道女会は、現在も同院で奉仕を続けている。

 教皇の訪問は、病院の内外で関係者や市民たちの盛大な歓迎に包まれた。

 ホールで行われた、患者たちや病院関係者らとの出会いで、教皇は「皆さんにお会いできてうれしく思います。これはわたしの願いでした。なぜなら、イエスはここに生きておられるからです」と挨拶され、「皆さんがわたしの心の中に、そしてわたしの祈りの中にいることをお伝えしたく思います」と述べられた。

 教皇は、同院の創立者、たゆまぬいつくしみの使徒、福者ヤーコブ神父の最も貧しく苦しんでいる人々へ愛を思い起こされた。

 また、教皇は、喜びと献身のうちに使命に取り組む修道女たちと、専門性と思いやりをもって病者をケアし、キリストのいつくしみ深い愛を証しする医療スタッフらに、心からの感謝を述べられた。

 ここでの体験は、最も弱い立場の人々を忘れてはならないという、すべての人、そして全人類への忠告である、と教皇は述べ、幸福という偽りの神話に固執し、多くの人々の貧困や弱い立場を無視して、猛スピードで突き進む社会に対し、警告を発せられた。

 教皇は、特にわたしたちキリスト信者は、貧しい人々を大切にするように召されていると話しながら、貧しい人々の傷ついた顔には、罪のない人々の苦しみ、それゆえに、キリストの苦しみそのものが刻まれている、と語られた。

 そして、教皇は病者たちに向けて、「皆さんには父なる神の心の中にいることをただ思い起こしていただきたいのです」述べ、「神は皆さんを手のひらにのせて運ばれ、愛をもって寄り添い、皆さんをいたわる人々の手と笑顔を通して、その優しさを注いでくださいます」と話された。

 訪問の終わりに、教皇は入院患者たちとスタッフらによる手作りのロザリオ77本と、福者ヤーコブ神父を描いたイコンを贈られた。

02 12月 2025, 16:49